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無造作に鞄の中身を畳の上に出す。
白いノートを探していると、かよが手に盆を持って戻って来た。
あっ……私のノート!
「そっ、それ探していたんです!」
「これ……やっぱり、あなたの物なの?」
「はい! あぁ……良かったぁ」
散らかした荷物を鞄へ戻し、白いノートを受け取って立ち上がる。
頭から爪先まで全身を、かよは物凄い速さで視線を走らせた。
「お世話になりました、助けて頂いて本当にありがとうございました」
「どこへ行くの? もう暗くなるから今日は泊まっていけばいいのに」
「いえ……友達を探してるんです。電話が見つからなければタクシーに乗って帰ります」
首を傾げたかよに笑顔を見せると、靴を履いて玄関の扉を開いた。
……はぁ? 何これ?
目に映った光景に時間が止まる。
扉をそっと閉め……ゆっくりと振り返り、かよと再び見つめ合う。
でも、かよは笑わなかった。
「ねぇ、あなた本当に……」
「ここは、どこ……江戸時代みたい……」
「文久三年だけど……あなた大丈夫?」
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