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明日の天気なんかどうでもいい。
自信たっぷりに答えると、悠祐はハンドルにもたれて笑い出した。
「おい……せこいな、お前」
「せこくないよ、私の勝ち」
「何と勝負してるの? それなら3つ目の日付けは? 言えないならお前の負け」
「3つ目なんてないよ、どこにも書いてないもん! 悠くんこそ正解を言えるの? 証明できるんだよね?」
振り返った悠祐の顔を、遠くの街灯がひっそりと照らした。
俺も寂しいと……電話で言っていた声を思い出す。
私に同情した言葉ではない。
ムキになった私の表情を見て、悠祐は本当に楽しそうに笑った。
「お前の考えは?」
「もともとは4月15日だったと思う……ちょうどその頃、土方さんは二股から五稜郭に戻って来てるし」
「そうだね」
「土方さんは鉄之助に、2本の刀と品物を渡したの。大東屋で換金して旅費にする為だよ」
いちいち説明しなくても、そんなことは悠祐だって知っている。
それでも私は自分の見解を続けた。
島田魁が数年後に、大東屋へ鉄之助のことを問い合わせている。
4月15日に箱館を出発し、ここへ来たと大東屋が言っているのだ。
「数年も経ってるんだよ? 普通さ、客が来た日付けなんて覚えてないよ。土方さん……鉄之助の為に、日付け入りの手紙を持たせたんじゃないかな?」
「事前に書いたとは思わない?」
「それはない……土方さんは14日の朝6時から7時頃まで、二股にいたんだもん」
「面白いね」
4月15日ではないと考えられる理由は、この他にも色々とあった。
いくらなんでも鉄之助が、日野まで3ヶ月もかかるとは思えない。
鉄之助は船内で土方の死を知ったと、佐藤家で自ら語っている。
土方の最期は5月11日だ。
「だから私、鉄之助が船に乗るのは5月5日だって……結羽にそう伝えたの」
「そっか……答えは5月5日?」
島田箱を抱き締めた姿を見て、悠祐は少し残念そうに聞いた。
一般的に知られている日付けは、間違いなく2通りだけど……
悠祐の出題の仕方から推測すれば、答えは一つに絞られる。
「答えは3つ目。どちらでもない日」
「日付けも言えないのに?」
「そんな残念そうな顔しないでよ、証明なら出来るし。ほら! 結羽の日記」
どうせ5月5日だって書いてるよ。
悠祐の思惑にはまっているとも知らず、島田箱を差し出した。
「俺が残念なのは、お前がそれを確かめてこなかったことだよ」
「……え?」
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