第一章

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二日後の日曜日は、亜希に京都へ連れて行かれることになっていた。 何をしに行くのかというと…… 手に持っていた白いノートを、適当に片手でペラペラと捲ってみる。 いきなり般若の形相で飛びつかれ、貰ったはずのノートを横取りされた。 「ちょっと! これ作るのに何時間かかったと思ってんの!? ちゃんと読みなよ」 「知らないよ……ご丁寧に似顔絵まで描いてあるし。はぁ……どれどれ」 似顔絵付きの人物紹介。 字……汚っ!! 思わずノートから顔を上げると、亜希はニヤニヤと笑みを浮かべていた。 「えーと……つち……ん?」 「ひじ……土方さんでしょっ?」 「そうだったね……ふじ……」 「藤堂でしょ……あんた、わざと言ってんの?」 はぁ、バレた? 興味ないんだもん……とは言えず…… 亜希の誕生日には、何でも言うことを聞いてあげるね。 そう言ったのは私。 それが、そもそもの間違いだった。 二日後までにこれを全部覚えろと? 亜希の汚い字を見つめ、無意識にも深くため息をついた。
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