第二章

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誰かの足音がする…… 目をゆっくり開けると、薄暗い六畳ほどの部屋で布団に寝かされていた。 瞬きをしながら辺りを見回す。 枕元に置かれていた鞄に気付き、慌てて上体を起こした。 私、さっきまで川にいたのに。 足……痛っ! 布団から足を出して傷を確認した。 怪我をしていた両膝が、いつの間にか綺麗に手当てされている。 鞄に手を伸ばした時、誰かが部屋に入って来たことに気付いた。 「目が覚めましたか?」 「あの……」 「私、かよです。あなた、川で気絶していたんですよ」 やっぱり……私、川にいたんだ。 鞄から急いで携帯を取り出し、かよという女に礼を言った。 「助けて頂いてありがとうございました。私の友達は知りませんか?」 「あなた一人しか見なかったけど」 亜希のことが心配で、とりあえず連絡をしようと思って携帯を開いた。
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