第二十三章

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軍議への参加どころか、その場にいなかった鉄之助に問いかけた。 鉄之助は早く話を進めようと、副長だからだと簡単に答えた。 「靖共隊だけど、これから幕府軍に合流するって書いてあるよ。中後軍のことだね」 「その手紙、何日に書かれたの?」 林が手紙を出したのは十六日。 予定通りなら鹿沼辺りにいるだろうと、鉄之助は独り言のように呟いた。 新式装備の訓練をしていたこと、江戸を脱出して北上していること。 そして最後は土方への挨拶と、私の体を気遣う内容が書かれてあった。 「永倉さんだけじゃなく、皆元気だから心配しないでって書いてる」 「良かったぁ……原田さんのことは!?」 「江戸に戻ったみたいだよ、急に大事な用を思い出したんだって……」 理由が漠然とし過ぎていて、何の言葉も思いつかなかった。 鉄之助も同じく黙ったまま、畳んだ手紙を私の膝の上に置いた。 江戸を離れて、また江戸に戻るなんて……意味がわかんない。 大事な用って一体何なの、靖共隊を抜けるほど大切なことなの? ねぇ、原田さん……五月に会えるよね? 原田の行動は訳がわからず、考えるだけ時間の無駄だった。 それに何よりの問題は、原田と連絡を取る術を失ってしまったこと。 鉄之助が呼ばれて部屋を出ると、暫く一人で畳を見つめていた。 もどかしくて落ち着かない。 事態はいつも後から聞かされ、何も思い通りにはいかなかった。 そして土方を気の毒だと思い、心身ともに心配でならなかった。 近藤の助命を図るも儘ならず、急に参謀として前軍を任され…… 新撰組の今後を考え、相馬は捕縛され、廊下で衝突した相手が私で…… 永倉や原田がいれば、きっと土方の力になって助けてくれただろう。 でも今はそれも叶わない。 心配や迷惑を掛けるようなことは、絶対にしないと自分に約束した。 土方の立場を全て自分に置きかえてみる。 正常でいる土方を、異常なまでに生命力の強い男だと感じた。 ……その日の夜。 金銭面や安全上、旅中は鉄之助と同じ部屋に泊まっていた。 男と言ってもまだ十五歳だし、頼りになる弟のような存在だった。 灯りを消しても鉄之助は戻って来ず、私は一人で布団に潜り込んだ。 「結羽……起こしたか?」 「ううん、起きてたよ。鉄くんは?」
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