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早く、誰かドアを開いて。
きっと、このままだと俺は目を閉じてしまう。
こんないつ誰が来るともわからない場所で、こいつの言葉を受け入れてしまう。
流されるのは、良くない。
「じ、冗談言うな」
裕二の顔が、あと10センチになった所で、やっと出た声は、思った以上に情けないものだった。
だめだ。
違う。
もっとはっきりと、言わなければ…。
こんなのいつもの自分じゃない。
「冗談にしたい?」
息がかかる距離を保ったまま、首を傾げる裕二。
「……」
そのどこか、誘っているような眼差しに、ゴクリ、と唾を飲み込む。
冗談にしたいのか。
こいつが、自分を好きだということを。
もちろん、その疑問に答えることは出来ない。
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