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黙示録―開演―
黙示録は何故来ない?
黙示録なら……まだ
救いがあっただろうに――。
「――――――っ!!」
少女の慟哭が天を裂く。
荒れた大地を揺らし、鋼色の空に一筋の光明を走らせる。
少女を中心に大地がひび割れ砕ける。
誰かが断末魔を叫ぶ。
だが、それはすぐに消え去った。
少女が放つ光の洪水が、彼らを飲み込めば形を失い崩壊させる。
崩壊直前。殺人兵器を抱いた彼らが最期に見たのは、美しい金色の髪をうねらせる白き翼を背に生やす存在。
その細い腕に強く抱かれているのは彼らが生を奪った青年。
嗚呼……。
その声は終末の喇叭(ラッパ)か。
死を嘆く天使よ。
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