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「人神よ!何しに参った。」
正竜の出口には人神がいた。姿形は人そのものただ人とは違うオーラを放っていた。
『雫か、時雨の粗探しに参った。少し来ないうちに随分と元気づいたようだ』
「…ふ、人神ごときが神の真似か?まぁよい。私に面白い話をせよ」
『お前の相手をしている暇はない。ここに暁という名の者がいるはずだが…今は何処に?』
暁と名が出るだけで雫の顔は引き攣る。実の弟ではあるが時雨家はあまり暁を好いていないことは事実。
雫もあまり暁の話はしたがらない。
「私の弟はもう三年も帰って来ていない。弟が帰って来れば即座に真の主が決まるというのに…弟は帰って来ないのだ」
『ぬははは、よほど帰りたくはない家ということだな。ということは今は下界か…時雨家の力を持ってしても連れ帰ることは不可能か?』
「次期主への昇格が確定していた主候補のアラレが殺された。それを踏まえ下手に動けんのだ…かつての魔女と同じ状況だ。」
本当に困った弟よ、末っ子故に甘やかして育てたせいか…我が儘を言うようになって。昔は可愛いぐらいに従順だったはず
『ほぅ…魔女と同じか。ならば早急に余が動くとしよう。臆病者の時雨には頼れないからな』
「…は?喧嘩売ってるのか?」
『まさか~そんなはずなかろう。降りてきたついでに雫のあら捜しから始めるぞ』
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