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『ん?…―迎えが来てるみたいだぞ。空』
「将かな?早いな~昼寝出来ないじゃん」
『上がるか?』
「仕方ないね」
昼寝が出来なくなり、機嫌が悪くなる空。グランが地上に上がった瞬間、泉の真上に現れたのは巨大な烏。
「将、それはずるいな…」
烏の背中に乗り、ニカッと笑う将を見つけて空は呟いた。
「竜に乗ってるお前が言うかよ。それに、引っ張られて動けねぇし」
「不法侵入だからね。ここの桜木が警告してるんだ。グラン、放してあげてよ」
グランの背中から烏の背中に飛び移り、そう言うとグランは泉の底へ帰って行った。それと同時に烏は高く飛び上がる。
「月は?」
「鼠を抱えて帰った」
「最近の?どうしたの、怪我でもした?」
「お前と一緒、………花粉症。」
「え。鼠もなるんだねー花粉症」
ふと下を見ると、尖ったいくつかの山が見えた。先程の泉はこの山の頂上にある。
空は山の木に停まる猿を見付けて目を見開いた。
「ちょっ、猿が!猿がいるよ。将」
「はぁ?猿だあ?この山々に猿なんか―………いるぅう?!?!」
慌てて将の肩を叩き、猿がいるほうを指で示す空。その方向を見て本当に猿がいることを確認した将も驚いた。
「捕まえよう。将」
「あほ、家を動物園にしたいのか。それよりも、早く戻るぞ」
焦っている様子の将の態度に空は何かを悟る。
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