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賢明なる皆様はすでにお気づきであろうが、ここは便所である。
しかし、ただのそれとは訳が違う。
間違っても隣の個室なんぞと一緒にしないでいただきたい。
絶対に、だ。
「ふぅ~、そろそろ行くか」
誰に聞かせる訳でもなく呟くと、僕はゆっくりとズボンを引き上げて着衣を正す。
名残惜しく感じるが、ここは別れ際が肝心である。あまり長いと級友や教師などから痛くもない腹を探られかねない。
まあ、実際に腹は痛いんだけど。
洗面台で身だしなみを弄くって誰もいない廊下をぷらぷらと歩く。
校舎の屋根にとまる小鳥たちに優しい笑みを向ける。
「今、お戻りケ?」
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