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どうしてもそれだけは免れたい。
「顔色、悪いよ?」
女生徒は懲りずにこちらを覗き込んで心配そうな目を向けてくる。
残念だが、僕には言葉を返す気力がない。
あと、15分。このまま静かに過ごさせてくれ。
ご存知だろうが、中学生とは、自分はもとより人の痴態に特に敏感である。
授業中に手を挙げてトイレにでも行こうものならば、すぐさま笑いの種となる。
なんなら、隣のクラスにまで広まっている。
腹の弱い僕は毎日こうして痛みと戦って来た。
僕の辛抱強さと集中力はこれで培われてきたのだ。
「しんどいの?」
まだ言うか。
今日の敵は放っておいてくれれば、なんとか持ちこたえることができるのだ。
刺激は禁物だというのに、分からない奴だ。
全神経は肛門に集中していたので、目だけでわからんちんに合図を送ってやった。
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