常識の世界にある当たり前という壁

2/25
前へ
/25ページ
次へ
それは、ある病院のある一室で起こっていた。 「こんばんは!咲おねーちゃんだよね?」 明るい可愛らしい声で名前を呼ばれ、私は目を覚ました。驚き反射的に上半身を起こし周りを見渡す。 「………?」 となりの窓を見れば閉めていたはずの窓が空いており、涼しい夏の夜の風が、カーテンを揺らしている。 ただおかしいのは、揺れるカーテンから見える月が赤い満月な事だ。 夢? それにしてはやけにリアルな…。 「どうしたの?これは夢じゃないよ。ほら!」 さっきの声がまた病室に響いた。そして、私はやっと声の主がどこにいるか気付いた。 ベッドにいる私の足の上だ。 うっすらだが少女らしきシルエットが見える。 すると、その少女らしき影から手がのびてきた。驚き後ろに下がろうとするが、予想以上の重さに動く事ができず、のびてきた手にほっぺたをつままれた。 いたい。 夢、じゃない。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加