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それは、ある病院のある一室で起こっていた。
「こんばんは!咲おねーちゃんだよね?」
明るい可愛らしい声で名前を呼ばれ、私は目を覚ました。驚き反射的に上半身を起こし周りを見渡す。
「………?」
となりの窓を見れば閉めていたはずの窓が空いており、涼しい夏の夜の風が、カーテンを揺らしている。
ただおかしいのは、揺れるカーテンから見える月が赤い満月な事だ。
夢?
それにしてはやけにリアルな…。
「どうしたの?これは夢じゃないよ。ほら!」
さっきの声がまた病室に響いた。そして、私はやっと声の主がどこにいるか気付いた。
ベッドにいる私の足の上だ。
うっすらだが少女らしきシルエットが見える。
すると、その少女らしき影から手がのびてきた。驚き後ろに下がろうとするが、予想以上の重さに動く事ができず、のびてきた手にほっぺたをつままれた。
いたい。
夢、じゃない。
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