常識の世界にある当たり前という壁

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つまんできた手を離し、ほらね!とくすくす笑っている少女らしきもの。暗くてよく見えないが金髪だけが闇の中で輝いている。シルエットの小ささや声から、10歳ぐらいだと感じた。 だが、何かおかしい。 何か物凄く恐ろしい少女だ。 あたしはこの少女らしきものから離れようとベッドから降りようとしたが、座られている場所があたしの足の上のため動けない。 「何。どーしたの?」 慌てる私を見て首をかしげる少女らしきもの。 その時、カーテンが大きくゆれ、赤い光が少女らしきものの影を照らした。 その姿は一瞬見ただけでも忘れられない様な姿。 少女の小さな体を包み込めそうな長い長いかなりの量の金髪の美少女。 左右で位置が違うぼさぼさツインテール。 まるで王冠の様な髪飾りや服装も、おとぎ話の"アリス"に似ている。 ただ違うのは着ている服は破け汚れ血がついて、ちらりと見える足や手は包帯でぐるぐる。 瞳の色は赤と黒が交互に輝く、人間ではあり得ない、いわゆる《化け物》だった。
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