常識の世界にある当たり前という壁

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「あたしがそんな重く見えた?」 くすくす笑いながらベッドからどんどん遠ざかり、闇の中に消えていくアリス?。 ただ闇の中でも金髪とあの眼だけは輝いていた。 まるで、姿を消しても眼だけははっきりと輝く【チェシャ猫】の様に。 「ちょっとまって!足に乗ってるものをなんとかして!」 どんどん重たくなっていく足。みしみしと痛みだしてきている。 そう言うとアリス?はぼそりと呟いた。 「《不思議の国》では皆"アリス"に従うの」 僅かだが、眼の輝きが揺れる。 「でもあたしは"アリス"じゃないから」 その時の私の耳にアリス?の声は届いてなかった。 闇が、動いている。 まるで生き物の様に。 そして、その闇の中に浮かぶアリス?の一度揺らいだ眼の輝きは復活し、アリスはにんまり笑い叫び、 「そして【この世界】は、不思議の国じゃないから!」 闇が、覆いかぶさってきた。
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