常識の世界にある当たり前という壁

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「よくも邪魔してくれたね、"狂"」 「あの女がそっちにいったら"優"がうるさいからネ」 咲が去った後の病室。相変わらずアリス?が中にいる闇は進むことができず、"狂"と呼ばれたフランス人形の目の前でもごもごと動いている。 「そこを退け。コスプレ野郎。早くしないと【この国】に食われちゃうよ?」 「【この国】?あぁ、醜いものしかいない【嫉妬の国】のことカ。そういえば醜い姿が見えないナ。留守カ?」 「……オマエ、クッテヤル…」 「その声は【猫】カ?ふん、そんなに僕を食べたいならまずこの【心鏡(しんきょう)】を破らなくちゃナ」 そう言い放つとアリス?の声でチッと舌打ちが聞こえた。 (まだ合図がなイ。時間を稼がなくてハ) 一見アリス?より有利で余裕な様子に見える狂。しかし、内心は焦りを感じていた。その証拠に、【心鏡】がみしみしと音を立てている。
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