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そろそろ帰ろうか、とお互い腰をあげる。長時間座っていたから、腰が痛い。顔を見合わせ、二人とも笑う。こんなに長くしゃべったのはお互い久しぶりだったのだ。
「お前、泳ぎに行って溺れるんじゃないぞ」
「君こそ、釣りに行って私を釣り上げないでね」
他愛もない悪態をつきながら、くすくすと笑う。ほんの数時間の会話だったけれど、ずいぶんと親しくなれた。私は昼休みに落ち込んでいたのが嘘のように、胸を躍らせていた。
鞄を取りに教室に戻る。その道中も、会話が途切れることはなかった。テンポ良く進むやりとりは、言葉遊びのようで楽しかった。私も彼も、常に笑っていた。
それからというもの、私たちはしゃべる機会がどんどん増えていった。掃除場所が一緒だったこともあるが、私と彼は妙に趣味や思考回路、笑いのツボが似ていたのだ。一緒にいて居心地がよく、いつしか彼は私の大切な人となっていた。
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