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週末、私はまた川に来ていた。いつもの場所で泳ごうと、冷たい水に身体を沈める。今日は白いワンピースを着たまま泳いでみた。着衣水泳には慣れているし、ふわふわと触れる、布の感触はとても気持ちがいい。とろりと目を閉じ、降る陽光を感じる。
やっぱり川が好きだと、私は私だと再確認する。それは私にとっては必要な確認作業だった。
息つぎに水面に浮かぶと、そこには彼がいた。きょとん、としている私に彼は笑いかける。「やっぱりここにいたのか」と言いながら、肩から釣り道具を降ろしていた。
「ちょ、私を釣らないでよ?」
「お前がエサに喰いつくほど腹減らしてないなら大丈夫だろ」
そこまで食い意地張ってない、といじけると宥めるように頭を撫でられた。何だか子ども扱いされてる気がする、と膨れてみた。あっさりスルーされた。
彼は彼で釣りを楽しむみたいだったし、私は私でまた泳ぐことにした。気が済むまで、存分に泳ぐ。そうして、ようやく落ち着いたのは日が暮れる直前だった。
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