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 私は耳を疑う。そして彼の頭を疑う。私を、好き? 何かの罰ゲームだろうかと思った。誰かに言わされているのか、それとも何かドッキリなのだろうか。 「俺と、付き合ってくれ」  どうやら、彼は本気らしい。私はようやく理解して、顔が熱くなるのを感じた。絶対今顔真っ赤だ。 「どう、して私なの……?」  正直、私はあまり可愛い方ではない。痩せているわけでもないし、何を言おうかれに振られた理由は「俺、面喰いだし痩せてる人がタイプだから」だったのだ。好きな人にそんな理由で振られたら自信失くすのは当り前だろう。だからこそ、私は彼の告白を疑ってしまったのだ。 「お前と話している時が一番楽しいし、笑った顔も、怒った顔も、ふざけてるときも、思考回路も、全部好きだ。俺と、付き合って欲しい」  私だって、彼のことは好きだ。一緒にいたら楽しいし、彼は優しく、誠実で、温かく、私のことを理解してくれている。きっと、こんな人と付き合えたら幸せなんだろうな、なんて考えたこともある。けれど、彼が私のことを好きになるはずがないと思っていたのだ。なのに、彼は私のことを好きと言ってくれるのだ。こんな私のことを。愛してくれるのだ。
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