第4節 ミーティング

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 プレストンのクラブハウスは二階建てのシンプルな建物だが、それなりに施設は充実している。  スタッフのための部屋と選手のためのロッカールームやシャワー室、医務室等があり、カフェと呼ぶこともはばかられるような小さなスタンドもある。  地元のサポーターたちがそこに集まっては、選手の練習姿を見ながらコーヒーやビールを飲むのだ。  イングランドの多くのクラブがそうだが、中堅以下のクラブはサポーターとの結びつきを大切にしている。  クラブハウスに昔からのサポーターやOBが顔を出していることも決して珍しいことではない。  彼らはわがチームに好き放題言いながらも、勝利を期待している。選手たちとの交流を通じて、チームを応援している。  選手の方も、練習後にそのスタンドに顔を出し、サポーターたちのサインに応えたりしている。  ユースチームの選手やもっと若いジュニアチームの子供たちなどもクラブハウスを利用しており、選手とサポーターの距離が近いということができた。  その日の夕方、選手たち全員がクラブハウスに招集されていた。二階の奥にはホワイトボードとパイプ椅子があるだけのミーティングルームがあり、そこに集まるよう連絡があったのだ。  選手たちの何人かが部屋の中に入ると、そこには大型の液晶テレビが置かれていた。テレビの前には、人数分のパイプ椅子が雑然と置かれている。  選手たちはぱらぱらとパイプ椅子に座っていく。
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