第4節 ミーティング

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「ね、ね。これって何かな? 次の対戦相手のビデオ?」  左サイドバックのパーカーが無邪気な声を出してそう訊ねる。  まだ19歳と若く、今期から加入した選手だ。陽気な性格で、北部の街であるプレストンに来て、寒さに強いことをいつも誇らしげに自慢している。  それまでフットボールであまり挫折することなくプロにまでなったためか、どこか人を喰ったようなところがある。 「知らねえよ。すぐに始まんだから待っていればいいんだよ」  同じくDFのモイーズが吐き捨てるように言う。  彼は自分からポジションを奪ったパーカーのことをあまりよくは思っていなかった。  確かに俊足で攻撃参加に優れているのは認めるが、攻撃に意識が向かいすぎ、肝心のディフェンスがまだ甘いと事あるごとに指摘している。  先日の試合でも、パーカーが攻撃参加して空いたスペースを突かれ、先制点を決められた。  もし俺だったら、あんなへまはしない。強がりのようで口には出さなかったが、そんなふうに思っていた。 「モイーズはいつも怖いね、まったくさ」  パーカーはそんなモイーズの思いに気づかないのか、おどけてそんなふうに言う。 
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