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「――十八時六分に全員集合ね。ま、最初はこんなものかしら」
ふらっと部屋に入ってきたアランが皆を見まわしてそう言った。
弾けかけた火花は、アランの登場によって鎮静化されていく。
全員の視線がアランに注がれる。
アランはいつものようにノーネクタイに細身の白いシャツ姿だ。胸のボタンを二つも開けて、肌を見せている。
「そうね。せっかくだから、最初にこれからのルールを簡単に説明するわ」
アランは言う。
「とってもシンプルなルールよ。三つあるわ」
アランは椅子の間をゆっくりと歩きながら話す。
「ルールその一。時間厳守。これからは、ミーティングへの遅刻は許さないわ。練習も同様よ。ペナルティとして、遅刻した者はその次の試合でベンチに入る権利を失うわ。たとえレギュラーであってもね。今日はまあルールを発表する前だから、特別に除外するけど、次以降の例外はないわ。降格圏に沈むチームの選手が練習に遅刻するなんてことは、普通なら許されないものよ。それはたとえばエヴァンス、チームの中心選手であるあなたでもそうよ」
名指しで言われたエヴァンスは不敵な笑みをアランに向ける。
本当に俺を外すことができるのかよ? とでも言いたいかのようだ。
「ルールその二。食事は全員一緒にとること。これは練習中と、遠征のときの食事のことよ。これはまあ、そんなに難しいことではないわよね?」
選手たちの間にざわめきがさざ波のように起こる。
何を言い出すんだと怪訝そうな表情を見せるもの、あからさまに馬鹿らしいというような表情を見せるもの。
キーガンはその真意は何かと黙って聞いている。パーカーは面白いことをいうなあと興味深々で前のめりでアランの話を聞いている。
「ルールその三――それを説明する前に、VTRを見てもらおうかしら。撫子ちゃん」
アランが呼ぶと、部屋の外から一人の女性が入ってくる。
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