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その後、画面は各選手の前半戦の動きを振り返る映像が続く。
積極的すぎる攻撃参加の裏をかかれ、何度もカウンターを決められるパーカーの映像。
パーカーはその映像を、まるで人ごとのように面白そうに見ている。
安易な横パスかバックパスばかりを繰り返し、しかもそのほとんどがエヴァンスにボールを渡しているコーエンやジョンソン。
二人は、こんなのは自分たちではないというかのように、憮然とした表情で画面を見ている。
ラインコントロールを試みるがディフェンス陣の足並みが揃わずオフサイドを取れないスミス。
誰にも負けない高身長であるのにヘディングに競り負けているハリー。
優しすぎる彼の情けない表情がアップで映し出される。
次に、一人でボールを持ちすぎ、ドリブルをした挙句に潰されるキャロル。
スペースに走りこんでいるのに、味方からパスが来ず孤立するキャロル。
キャロルは黙ったまま画面をにらみつけている。
そして、王様エヴァンスが映し出される。
彼の見事なシュートやプレイの映像とともに、傍若無人なパスの映像が交互に映し出される。
自分の見事なパスについていけない味方に文句を言う姿も映し出されている。
さらに、パパラッチされたナイトライフの新聞記事(「エヴァンス、美女モデルと夜のハットトリック」)もアップで映し出される。
映像はレギュラー選手たちのプレイを特徴的に映し出し、まとめていた。
特に、各選手のウィークポイントが中心となっていた。不振のプレストンであり、その映像は選手たちにとっては決して心地よいものではなかった。
最後に、再びスタジアムやパブでのサポーターたちの映像に切り替わる。
サポーターたちは非難をしながらも、最後は頑張れと応援してくれていた。
期待していると激励してくれていた。
こんなにふがいない結果しか残せていないチームであるというのに――
再び『プレストン・アワー』のテーマ音楽が流れ、映像は終了した。撫子が立ち上がり、テレビ画面を消す。
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