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テレビ画面が消えた後、室内には静寂が訪れる。
選手たちは等しく押し黙っていた。
アランがゆっくりと立ち上がるのを受けて、視線が彼に集中する。
「特別番組はどうだったかしら? このVTRは来週番組で放映されるわ。アナタたちにとっては決して気持のよいものではなかったと思うけど、実際前半戦のアナタたちの姿を編集したものよ。ハリウッド映画のCGというわけではないわ」
「わざとひどいプレイばかりを集めていたのでは? もっといいプレイもあったはずです」
選手の一人がそう言う。
「そりゃああったわよ。でも、そんなのを映しても仕方がないでしょう? アタシたちはいま22位なのよ。カイゼンしなければ、チームとしてまとまらなければ、このままずるずると降格してしまうわ」
降格という言葉に、選手たちがどよめく。
「もう一度言うわ。このままいったら降格は免れないわよ。46節中20節まで過ぎて、まだ4勝しかしていないのよ。完全に降格ペースよ。前半戦終了時に降格圏にいたチームが実際に降格する確率は、五十パーセントを超えているわ。降格したらどうなるかは、アナタたちだってよくわかってるでしょう? 明日はトライアウトが開催されるけど、そこにイングランド代表級の選手がやってくるとでも思っているの? 試合のない二週間で、体制を立て直すしかないのよ」
不安そうに黙ったままの選手たちに向けて、アランは続ける。
「三つ目のルールは次回のミーティングで伝えるわね。ひとつだけ、明日のことを伝えるわ。明日の午後、トライアウトの最終試験で、あなたたちと最終試験参加者との練習試合を設けています」
アランの言葉に、室内にざわめきが起こる。
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