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「……っ！」
近づいたと同時に扉が開く。
びっくりして声さえ出なかった。
「美羽ちゃん……」
現れたのは、30代……くらいか？
どこにでもいそうな普通の男性だった。
どうしようか、と相手を見ると、相手は上から下まであたしを舐めるような目で見ている。
こんなに居心地悪い思いをしたのは初めてだ。
「あ、あの」
とりあえずどうにかしようと口を開く。
「はっ、み、美羽ちゃ、や、やっぱり声まで可愛い……！」
……！？
いきなりの大声にびっくりしたが、あたふたしたように答えるその人にあたしは本当に誘拐されたのか、不審に思う。
第一待遇が良すぎるんだ。
普通は縛られたりするだろうし、好きなアイドルを誘拐したら何かするんじゃないだろうか。
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