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「メリークリスマス」 その人はカップを優しくわたしの目の前に差し出すと、優しい笑顔でそう言った。 その瞬間、わたしはこのカフェラテと彼に恋をした。 一目惚れなんて、自分には有り得ないと思っていたのに。 それは一瞬にして崩れ去った。 それから、わたしは時間が許す限り、そのカフェに通い詰めた。 極上のカフェラテと彼の優しい笑顔を求めて。 決まっていつも、彼が立つキッチンの前のカウンターに腰掛けた。 そんな日々がひと月ほど続いた。 そしてバレンタインの日。 わたしは意を決して告白した。 「好きです! ここで働かせて下さいっ!」
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