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東京
漠然としている田舎町とは大きく違った外観。
俺の横を次々に通り過ぎる人々。
誰かに操られているかのように一点だけを見つめそこへ向かっていく。
この街で何をすればいいのかなんてまだわからない。
右をみれば路上で横になってる人がいる。
左をみれば高級車に乗った金持ちがクラブ街へと向かう。
日本の格差社会が手に取るようにわかった。
そんなとき後ろから声をかけられたら。
「よぅ! 元気してたか?」
高校の時の先輩だった。この先輩はdrumがうまかった。
俺と同じようにプロを目指していた。
「久しぶりじゃないですか!!! どうしたんですか急に。」
驚きを隠せなかった。
「どうしたもなにも、渋谷で友達のライブがあったから見に来てたんだよ。」
ここは新宿の気がするが…。
相変わらず嘘がヘタクソだ。
「そうなんですか! 最近バンドの方はどうなんですか?」
「それがな…」
先輩は黙り込んでしまった。
「なにかあったんですか?」
話しにくそうに口を開いた。
「解散したんだよ。メンバーが先が見えないって自殺しちまったんだ…。」
「!!!!!?????」
体が凍りついてしまった…
「もう俺はただのニートだ。音楽なんて捨てたよ。今は雑音にしか聞こえないんだ…。」
言葉が出なかった…。
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