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お母さんはそんな私達を見て、呆れたように少しため息をついた。
「結婚しようとしなかろうと、どっちでもいいわよ
笑美が大阪に行くのは変わらないんでしょ?」
「…うん」
「それなら、その後の事はちゃんと2人で決めてから報告してちょうだい
大阪に行くのはわかりました
寂しくなるけど仕方ないわね…ね?お父さん?」
急に話を振られたお父さんは、少し慌てた様子だったけど、私を見て優しく笑ってくれた。
「あ、ああ、そうだな…
下手に反対したら笑美のせっかくの婚期を逃してしまいそうだしな…
とにかく向こうで2人で頑張りなさい」
「お父…さん」
今まで黙っていた弟も私を見て、お父さんによく似た笑顔を見せた。
「そうそう!カズ君と大阪行きなよ!
姉ちゃんが良いなんて、こんな奇特な人いねーよ?
ここで行かなかったら、姉ちゃん、一生独身で家にいるの目に見えてるよ!?
だから誰も反対なんかしねーよ?」
「…うるさいなぁ」
そんなリアルに有り得る話、しないでほしいな…。
隣の向井さんをふと見ると、弟の言葉にクククと笑いを堪えていた。
今更だけど、この人…笑い上戸だなぁ。
でも、隣でずっと笑っていてほしいな…とも思った。
「そうと決まれば、お母さん、笑美達のお祝いの為にご馳走作るから、夕方まで何処かに行ってなさい!
あんた達うるさいから、いない方が早く出来るわ!」
そう言われて、私達は追い出された…。
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