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「何って…決まってんでしょ?」 「い、いや…そうだけどね…」 こんなの普通にもらうような指輪じゃない気がするな。 「…好きでしょ?ここの?財布もそうだし、雑誌とか見てても、ここのが載ってるページによく折り目つけてたじゃん?」 「…そーゆうつもりじゃなかったんだけど」 あたしのクセで、買う買わないは別にして、欲しい物や行きたいお店のページに折り目をつけるんだけど、それを見た彼から『折り目が雑』とか『物欲多すぎ』とか笑われていた。 「それは知ってるよ。俺はもっとシンプルな形のが好きなんだけどね…。でも、どうせあげるなら好みに合わせた方が良いかと思って…。何気にハート好きでしょ? 持ち物もそうだし、メールも絵文字だけじゃなくて、背景とかもにも使ってんじゃん?」 背景…?テンプレートの事かな? 確かに好きだけど、メールのハートはそーゆう意味で使ってるんじゃないんだけど…? 「で、でもね、あたし達別れてたのに、何でこんな…」 「…いつまで、こんなの片手にごちゃごちゃ喋らす気!?…仕方ないでしょ!?一緒に居てた時に買いに行ったんだから…」 「そんな気の早い事して…」 「間に合わないよりマシじゃん。実際、名前彫ったりで受け取りに数週間かかったし。…出来上がった時に、凜がいなくてかなり焦ったけど…」 今、あたしがいるからか、ホッとした様子で話す姿に思わず笑ってしまった。
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