2565人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
そういう訳で、仕方ないのでいつもの河川敷を2人で歩いている。
河川敷には春らしく緑が増えてきたけれど、水辺が近いせいか、風はまだまだ冷たかった。
おまけに向井さんは家を出てから、ほとんど何も話してくれないので、気まずくなって私から話を切り出した。
「あ、あのね、さっきの話なんだけど…」
私がそう言うと、繋いでいた手にギュッと力が入った。
「うん…そやからな、サイズ何?」
はい?何で急にサイズの話になるの?訳が分からない!
でも、訊かれたからには答えなきゃいけないよね!?
「い、いきなりそんな事訊かれても…恥ずかしいんだけど…
一応、Cはあるよ?よくBじゃないのかって言われるんだけど、ちゃんとCはあ…」
「どアホ!誰がこの場で胸のサイズ訊くねん?
もっと空気読めや!!
そんなん、どうでもええわ!」
「あ、どうでもいいんだー
よかった!大きい方が良いって言われたら、どうしよ…」
「だから、何でそんな返しがくるんや?
いい加減にせぇ!!アホ!」
どうやら、私はまた怒られたみたい…。
「ごめん…」
とりあえず私が謝ると、向井さんは一瞬またキッと睨んでいたけど、直後にまたクククと肩を震わせて笑いだして、そのうち涙を流すほど大爆笑していた。
「もー、ホンマ勘弁して!!オレ、笑美ちゃんとおったら笑い死にしてまいそうや!」
「…ごめん」
何故そこまで笑われるのかはわからないけど、とりあえずもう一度謝っておいた。
「あ、でも笑って死ねるなら本望かもしれん…
そやから、笑美ちゃん…オレと結婚してや
ずっとボケて、ずっとオレを笑わせてくれ
オレ、笑美ちゃんのボケたとこが大好きや
いちいち、オレのツボに入って、もう堪らんわ!」
「えーっ?私ってそんなところが気にいられてたのー?」
「…何で、返しがソコなんや?ちゃうやろ?
どう考えても、その返しはおかしいやろ?」
一瞬、冷めた目で私を見たけど、すぐに「笑美ちゃんらしいな」と再び笑った。
最初のコメントを投稿しよう!