ニート社会人

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「おかしいなぁ。この前ねお客様は何の躊躇いもなくこの部屋を借りて、何故かその夜彼氏さんと大喧嘩になって彼氏さんが家を飛び出し、運悪くトラックと正面衝突。即死だった。それを見た彼女は自らを責め…罪の意識に苛まれた。何故あの日喧嘩をしたのか。自分があの時彼を許していれば、と。友人らの慰めも、当時の彼女には辛いものだったに違いない。そしてある日、彼女は久々に外に出た。向かった先は、近所のホームセンター。彼女は頑丈な紐と、レターセット、それから釘を買っていった。途中、コンビニに寄って、酒を買えるだけ買った。家に着くまでに、酒が何本か割れてしまったが、そんな事はどうでもよかった。家に着くなり、彼女は紐を釘で天井に結び付け、酒を浴びるように飲んだ。涙を流しながら、狂ったように。何度も戻してしまったらしい。それもそうだ。なんせ、彼女は酒に滅法弱かったらしい。けれど、彼女は飲み続けた。彼の事を想いながら、苦しみさえ、いとわずに。 .
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