うんクマ

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キーンコーンカーンコーン…… 静かな校舎内に五時間目の授業が終わる鐘が響き渡る。 次の授業までのタイムリミットは十分…… 僕は鐘が終わると同時に走り出した。 何故走るのか? 理由は簡単…… 「ヤバイ! ヤバイ! 漏れる漏れるううううう!」 そう……ウソコだ!! 僕の体は既に限界を超えている。 もう奴が生まれるのは時間の問題なのである。 なんてったって軽く内股で走ってるからね! その異様ともいえる走り方に校内の視線を独り占めしているわけだがそんなの気にしてる余裕はナッシング! 僕はこんにちはしようとしてる息子を脳内でまぁ待てと説得しながら歩を進めているのである。 トイレの入り口が見えて僕はいっきにスピードをあげる。 バタン…… トイレに辿り着き急いでベルトを外す。こんな時にかぎってなかなかズボンが脱げないものである。 「ふぅ……ようやく落ち着いた」 やっと腰をおろし安心できる状態となった。 「ふんっ! んんんんっ!」 僕は下半身に思いっ切り力を入れる。しかし…… 「出ない……」 なんてこった……引っ込んじまった…… 「ヒーッヒーッフーッ! ヒーッヒーッフーッ!」 いくら力んでも出てこない。 「あぁ……休み時間が終わってしまう……」 僕は四角い天井を見上げながらそう呟いた。 「はぁ……」 僕は諦めて教室に戻る事にした。 バタン…… トイレを出て教室に戻り始める。 あの慌てようが嘘だったかのように落ち着いた足取りだった。 教室の戸に手を触れた瞬間だった。 「ふあっ!」 再び奴はやってきた…… 「うぉ……うおおおお!? ここできますか!? ここできちゃうんですかあああ!?」 今までにない力を感じると同時、頭の回転が光を超える。 導かれた選択肢は三つ。 教室に入りズボンに変なシミを浮き出させ黄色いハーモニーを奏でるか…… もう一時間、トイレに行きたいけど行けない状況。すなわちインポッシブルウソコを体験するか…… 素直にトイレに引き返すか…… 答えは一つ! もちろん引き返させてもらいます。 まさかここで出ないと見せかけてやっぱり出るというフェイントウソコに出会うとは思わなかったぜ…… 僕はトイレに向け再び走り出す。 目覚めた心は走り出した。未来を守る為。 「間に合ってくれぇぇぇい!」 若干息子がこんにちはしているのがわかる……
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