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 仕事が終わって店の中に行ってみると、やはり亮がいた。  店はご飯どきということもあり、まずまずの賑わいだったが、伸二はすぐに亮を見つけることが出来た。しかし、亮はたばこをふかしながら携帯電話見ていたので近づいてくる伸二には気付いていなかった。 「何しに来たの?」伸二は亮の向かいの席に座った。  亮は携帯から目を離し、伸二を見た。「仕事終わったのか?」 「だから学校の制服なんだけどね」 「じゃあ飯食いに行くか」亮はたばこを灰皿に押しつけた。 「そのために来たの?」 「そうだよ。たまには二人で飯食いに行くのもいいだろ」と言いながら伝票を掴んだ。  伸二にはなぜ亮がこんなことを言い出したのか分かっていた。「兄貴、それはずるいよ。今日の晩飯、兄貴の当番だろ」 「だから俺がおごってやるって。心配すんな」 「またどっかの女からお金でも貰ったの?」既に立ちあがっている亮を追いかけながら伸二は訊いた。 「そんなわけないだろ。稼いですぐに使うなんて馬鹿のやることだよ」と亮はスーツの内ポケットから数枚の紙を取り出した。「これ、今日の取引相手のおっさんに貰ったんだよ」  自慢げにしている亮の手元をよく見てみると牛丼のダタ券だった。しかも、牛丼のみでなくサラダ等のサイドメニューのものもある。 「そのおっさん、この牛丼屋の株主やってるんだって。こういうのって仕組みがよく分かんねえよな。何でただで飯が食えるんだろうな。金貸してる利息みたいなものかな」 「そんな感じじゃない」伸二には全く分からないので適当に相槌を打った。
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