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空振りしたのが恥ずかしかったのだろう。その恥ずかしさを振り払うように今度はわき腹を目がけて足を振った。
亮のわき腹に鼻ピアスの足が直撃し、体がくの字に折れた。
亮は何も言わず、鼻ピアスのわき腹を蹴り返した。
「何するんだよ」と色黒が大声を出した。これがきっかけとなり三人で亮に襲いかかってきた。たまらず伸二も加勢した。
そこからはとにかくもみくちゃだった。殴ったり殴られたり、蹴ったり蹴られたり、伸二は興奮していたので状況がよく分からなかった。アドレナリンのおかげで痛みも感じていない。
しかし、初めこそ反撃が出来たのだが、二対三では勝ち目がなかった。時間が経つにつれ、自分の身を守るので精一杯になった。抵抗をやめた二人を見て、三人も手を止めた。
三人は肩で息をしながら顔を合わせて、「行くか」と言った。ぜいぜいと息を切らしている。
「ちょっと待ってよ」女が三人を引きとめる。「あんたらお金あるの? 奢ってくれるって言うからついてきたのに、お金取ってないじゃん」
「そうだよ。奢ってくれないなら、あたしたち一緒に遊んであげないよ」もう一人の女も不満を言う。
「今日はもういい。俺たちは帰る」と鼻ピアスが二人の女に言った。他の二人も同じ意見らしい。何も言わなかった。
「何よ、それ。サイテー」と女二人は三人とは違う方向に歩いて行った。
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