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伸二が話している間、中村は優しく微笑みながら真剣に聞いてくれていた。
その姿に少しだけ伸二の望む大人像が見えた気がした。
「さて、そろそろバイトに戻ろうかな」
こういう所で余計なことを言わないのも中村らしく、伸二は好きになった。
もちろん女性としてではなく人間として。
そして、休憩室を出ていく中村を見送りながら、ようやくたばこに火を付けた。
一度、大きく煙を吸い込んで吐き出すと頭の中がクリアになっていく感覚があった。
中学までは自分が特別だと思っていた。しかし、前田や中村がそうであるように、決して珍しくない。
だけど、伸二のような子供がそれを当たり前だと思ってはいけないのだろう。
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