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 初めのうちは程よい忙しさだった。いつものように汚れた皿をシンクの中に溜めた水につけて大雑把に洗ってから、食洗機の中に入れる。  もはやルーティンワークと化したこの作業を伸二は淡々とこなした。  手持ち無沙汰になるよりはよっぽどいいと思っていたのだが、時間が経つにつれ、そうも言ってられなくなってきた。  次から次に食器が運ばれ、洗っても洗っても無くなる気がしなかった。このファミレスはいつの間に店を拡張したのだろうかと本気で思った。  伸二は、誰か手伝えよと思って厨房の中を見回すのだが、みんな同じように自分の仕事で精一杯だった。  仕方なく永遠に終わることのない皿洗いを再開する。  よくよく考えてみると、ドリンクバーなんてほとんど原価はかかってないのだから、無料にしようと誰一人として損はしていない。  経営者は客が増えるし、客は無料でドリンクが飲める。  まさにウィンーウィン関係だ。  しかし、世の中はそこまで上手くはいかない。  誰かが得をすれば必ず割を食う人がいる。  それが伸二たちアルバイトということだ。
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