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 着替え終えてリビングに戻ると、亮は既にスーツ姿で新聞を読んでいた。たばこをふかしながら新聞を広げている姿は兄弟でありながら見惚れてしまう。  こうやって何人もの女の人から、亮が言うように報酬を貰っているのかと納得させられる。 「もう行くのか?」亮は新聞から目を離し、顔をこちらに向けてきた。 「うん。そろそろ行かないと本当に遅刻だよ」伸二は学校指定の鞄を肩にかけ、自転車の鍵を取った。「兄貴も遅刻するなよ」 「ああ。気をつけて行ってこいよ」 「小学生じゃないっての」 「だったらちゃんとネクタイは締めて行けよ」と亮は伸二の胸元にだらりと下がったネクタイの結び目を指差しながら言った。 「学校の近くになったらちゃんとするよ」  伸二はそう言い残し家を出た。
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