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「アバトロイド……」
アバトロイド。
確かに黒い球体はそう言った。どこから声を出しているのか知らないけれど。
「もしかして、ここはアバトロイドのゲーム内……って事になるのか」
『はい。アバトロイドでは、我が社が開発したシステムによるリアルな仮想現実をプレイヤーの皆さまに提供しております』
「科学技術の進歩、ね……」
呟きつつ、俺は自身の頬を抓る。痛い。まさか痛覚まで再現されているとは。夢とか言うオチでも無さそうだった。
『宜しいでしょうか?』
「あ、すいません」
『では、画面の指示に従い、各種基本設定の登録を進めて下さい』
ばかぁ、と言う効果音と共に黒い球体が開き、中からキーボードと画面が現れた。どう言う構造になってるんだ、これ。
いやまあここはゲームの世界だから、現実の理論なんか意味無いんだろうけどさ。
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