第壱話:アバトロイドへようこそ!!

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そうすれば、ゲーム内で知り合いに会って気まずくなる心配も無い訳だ。 いや、その前に、知り合いだってアバターサービスで容姿を変えている訳だから、お互いに気付かないのかもしれない。 「でもなぁ……」 『どうか致しましたか?』 「いや、自分の顔を変えるってのはなんか気持ち悪くて。違和感が多分、あるんですよ。仮想現実なら尚更で」 『それなら服装だけでも変えてみたら如何でしょうか。どのような服が良いか、希望がありましたら、検索を掛けますので』 黒い球体、恐らくは人工知能の言葉を聞いて、改めて俺は自分の服装を見返す。 ユニクロで買ったトレーナー。 明らかな部屋着だった。 これはマズいぞ。非常にマズい。 どのくらいマズいかと言うと、好きな女子の下駄箱に恋文を入れたと思ったら、間違えて隣の男子の所に入れちゃって、あいつはアッチ系じゃないかと翌日猛烈な勢いで噂が広まってしまうぐらいマズい。
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