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なんだか楽しくなった俺はそれから自由な試着タイムを楽しみ、
『それで宜しいでしょうか』
「あ、はい。大丈夫です」
結局、ワイシャツとジーパンの淡泊な格好に落ち着いた。なんと言うか、地味な地方大学生のような格好になってしまった。
『以上で設定完了致しました』
黒い球体がディスプレイとキーボードを収め、元の姿に戻ると同時に空間も戻る。ユニクロから白一色の世界に帰った。
ふわりふわりとした不安定な世界。
淡い乳白色の光に満たされた世界。
もう直ぐゲームが始まるのだろう。仮想現実を舞台にしたオンラインゲーム。果たして、俺の欲求を満たしてくれるのか。
白い空間を歪ます漆黒が声を紡ぎ出す。それはアバトロイドの門を開く合図。
『では、改めまして――
アバトロイドへようこそ!!』
思わず生唾を喉に流し込む。
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