第壱話:アバトロイドへようこそ!!

8/9
前へ
/150ページ
次へ
なんだか楽しくなった俺はそれから自由な試着タイムを楽しみ、 『それで宜しいでしょうか』 「あ、はい。大丈夫です」 結局、ワイシャツとジーパンの淡泊な格好に落ち着いた。なんと言うか、地味な地方大学生のような格好になってしまった。 『以上で設定完了致しました』 黒い球体がディスプレイとキーボードを収め、元の姿に戻ると同時に空間も戻る。ユニクロから白一色の世界に帰った。 ふわりふわりとした不安定な世界。 淡い乳白色の光に満たされた世界。 もう直ぐゲームが始まるのだろう。仮想現実を舞台にしたオンラインゲーム。果たして、俺の欲求を満たしてくれるのか。 白い空間を歪ます漆黒が声を紡ぎ出す。それはアバトロイドの門を開く合図。 『では、改めまして―― アバトロイドへようこそ!!』 思わず生唾を喉に流し込む。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加