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黒い球体の言葉と共に、俺の視界が一変する。味気のない景色が、緑色の流星雨と共に色彩鮮やかな輝きを放つ。
「お、おおおお……おお……」
無意識に溢れ出る言葉。
例えるならば、そう、オーロラだ。
瞬きする暇も無く変容していくこの世界。ただの色彩だったものが、見知らぬ街や人へと形を持っては流れていく。
無重力と有重力の狭間で俺は彷徨う。
黒い球体の声が、標のように鳴り響いた。
『それではヤナギ様、アバトロイドの世界を存分にお楽しみ下さい。バトロイドとの絆を深める旅へと――』
ぐねぐねと混雑する視界。ただひたすら落下していく感覚を身に覚えながら、俺は黒い球体の最後の言葉に引っ掛かる。
【バトロイド】
――バトロイドってなんだっけ?
首を思わず傾げる。それと同時に、俺の意識は電脳の波に揉まれ、またもや消失する事になったのだった。
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