第序話:とある少年の日常

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なんて言ってみたって、俺は多分未来永劫このままだ。耳を現実逃避の音楽で詰め、普通と向き合うしかないのだろう。 溜息を付いて、家のドアを開ける。今日は始業式で下校時間が早かった所為か、両親の声は聞こえ無い。 靴を脱いで、揃えて。 何時も通りの行儀良さ。 「やる事ねぇ……」 二階にある自分の部屋で、堅苦しい制服からやっと解放される。そのまま制服を床に脱ぎ捨て、ベッドに思い切りダイブした俺の口から漏れたのは情けない声。 いやしかし。 本当に退屈だ。 とりあえず部屋着に着替えてみたものの、なにをするでもなくベッドへ帰還。暫く掃除していなかったからか、シーツがカビ臭いのが悲しい。しかも湿気っぽいし。 「だけど掃除する気は起きないな」 呟いて、仰向けになる。 目に入ったのは薄汚れた天井。 そう言えば、天井や壁に出来た染みが人の顔に見えるなんて言うけれど。「……」うちの天井に出来た染みはどう見ても、 アナゴさんにしか見えない件について。
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