第序話:とある少年の日常

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俺は重たい腰を上げて、パソコンの元へ向かう。脱力し弛緩した全身の筋肉を奮い立たたせ、……いやこれは言い過ぎか。 とにかく、パソコンの電源を付けると、勉強机から椅子を引いて腰を下ろした。机の天板に肘をつき、掌で頤を支える。 溜息が口から漏れた。 そうだ、なんて言っていたっけ。 確か、アバトロイド、とかいう名前だった筈だ。最近話題のオンラインゲーム。 それがアバトロイド。 詳しい内容は知らない。ただ、俺の知る限り、ソーシャルなゲームらしい。学校で友人達が熱心に語っていたのを思い返す。 言うなれば、今一番の流行だ。 起動準備が完了したパソコンに、パスワードを打ち込んでログインする。そして直ぐ様ネットの検索エンジンを開いた。 キーボードを淡々と弾いていく。 流行に追いつくべく、午後の一時を使っている訳だが、これは非日常の刺激に繋がるのだろうか。確かに、アバトロイドとやらは俺にとって新開地なのだが、 それは他人にとっては既に日常な訳で。流行に乗るだけに過ぎない訳で。
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