第序話:とある少年の日常

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そんな不毛な思考を巡らせている間に、ホームページの一番下まで見終わった。 そこに表示されているのは。 【アバトロイド】に登録しますか? 【はい】 【いいえ】 そんな選択肢。俺は迷わず、【はい】にカーソルを持っていく。 説明文を読む限り無料でプレイ出来るようだし、つまらなかったら、何の事は無い普通の日常に戻れば良いだけだ。 「……」 噎せ返るような部屋の湿気を吸い込み、深呼吸。暗い暗い天井の下で背伸びして、俺は扉をノック代わりにクリックする。 その瞬間、異変が起きる。何が起きたのか理解する前に、パソコンの画面を埋め尽くす無機質な文字列。 掌の上から、顎が滑った。机に落ちる頭。鈍い痛み。そのショックが、先程感じた違和感の正体を俺に知らせた。 イラストが無かったんだ。 オンラインゲームのホームページだと言うのに、その内容を表すのは文字のみで、イラストが一切無かったんだ。 ――光が、爆ぜる。 どうでも良い違和感を解き明かした俺は、そのまま意識を落としたのだった。
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