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少し離れた場所に位置する厨房に生き、そこで働くメイド達が私の為に用意した、短時間で食べられる食事を摂った後、私はまた食堂へと急ぐ。
食堂に到着した時にはまだ誰も出て来てはおらず、時計を見たら食堂を後にしてから5分も経っていなかった。
扉の脇に控える事しばし。
最初に出て来たのは7男、実澄様だった。
「おはようございます、実澄様。お車までお送り致します」
出て来た御子息様を出来るだけお見送りする事。
これが朝餉後にする、最優先の仕事だった。
にっこり微笑んで手を差し出せば、実澄様は慣れたように荷物を渡し、愛らしい顔で笑った。
「おはよ、しーちゃん」
しーちゃんと言うのは名前から取った呼び名ではなく。
屋敷での私の呼び名は“執事”で統一されている為、実澄様がそこから付けた呼び名なのです。
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