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「…妖狼族?」
「ああ、東西南北にそれぞれ群れをなしている狼の妖怪でな、鋼牙は東の群れを仕切る若頭だと聞いたことがある。まさかこの村に来ていたとは…。」
私とそんなに変わらない年だと思ったけど、あいつ凄い奴だったんだ…。
「それで、四魂の玉はかごめが持っておったのか?」
「それがよくわからなくて…妖怪に引っ掻かかれた時に私の中から出て来たみたいなんです。あの、四魂の玉って一体何なんですか?」
「うむ、簡単に言えば妖怪の妖気を高め強い力をくれる玉じゃ。じゃから強い妖怪が四魂の玉を持つと大変なことになる…。」
「そんな、玉は今その鋼牙って奴が持ってるわ!楓おばあちゃん、あいつ強いの?」
「大変じゃ。鋼牙は妖怪の中でもかなり上の位に立っておる…。
かごめ、私は今から玉を取り返してくる。おぬしはここで休んでいなさい。」
そう言うと楓おばあちゃんは弓と矢を持って立ち上がった。
「おばあちゃん一人で?!無理よ!私も行くわ、何か役に立てるかもしれない!」
百足の妖怪をあんなにやすやすと倒す奴、おばあちゃん一人で敵うわけない!
私は家の中にまだあった弓と矢を持つと楓おばあちゃんと向き合った。
「…わかった、付いて来なさい。」
私は楓おばあちゃんと急いで家を出た。
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