序章

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そして、空中を浮遊しているソーサラー ・キラーの柄の部分から小剣が射出されると何度か空中を旋回し俺に向かって一直線に飛んでくる。 その数は4。 このソーサラー・キラーが何故その名を冠しているか。それはこの小型の剣を自由自在に扱い魔法職のもっとも苦手とする接近戦を仕掛けてくるからだ。 そして、今俺とヴァイドの二人組の場合のセオリーは・・・ 「テオ!ビットは任せる!!本体は何とかしてやるからさっさと落として加勢しろよ!!」 「言われなくても!!」 赤髪に教会の神父が着ているような修道服に左手に杖のようなモノを持っているヴァイドと呼ばれた青年の言うことにテオは一瞬で察し、迫りくる小剣に身構える。 そして、小剣の一本目が顔の真横を肉薄する。すると残りの小剣も俺の死角となる場所から攻撃が仕掛けられる。 後ろから来るかと思えば真上、横からきたと思ったら真逆の方向からの攻撃とトリッキーな攻撃が幾重も続く。 そして、後ろから来る攻撃を先ほどのように剣で軌道をずらす。 すると次仕掛けてくるはずだった小剣と衝突し4本のうちの2本が動きを止める。 テオはその隙をのがさない。スタン状態にある小剣2本に向かい剣を振り上げたたき折る。 しかし残り2本は絶えず動きつづけ、いくら避けようとしても何度も追尾を繰り返す。そして、ついにはテオの左肩を抉る。 抉られた肩から一瞬赤黒い鮮血が勢いよく吹き出したと思った瞬間、その血の一つがポリゴンの粒子になり傷口からは血の代わりに粒子が奔流のように溢れ消えていく。 「・・・くっ」 テオは短い呻き声を上げるが、肩を抉った小剣に剣の切っ先を向け切りつける。だが破壊には及ばず小さなヒビが入る程度のダメージしか与えられない。 ――浅いかっ!? (クソッ、さすがにコイツの起動性は厄介だな。) テオは小剣のHPバーの状態を確認しながらも移動は絶やさない。ここで一度でも立ち止まってしまうと間髪入れずに、残りの小剣に八つ裂きにされてしまう。
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