序章

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テオはその加速による勢いを殺さず右手に握り閉められている白銀に煌めく剣を強く握り、敵との距離を縮めていく。 ソーサラー・キラーは明かりの少ない暗がりの遺跡の中を空気を切り裂きながらこちらに飛んでくる。 その切っ先には、ほのかにライトエフェクトが纏われている。そのソーサラー・キラーの攻撃モーションから剣スキルの単発系に属されるスキル『ラッシュブレイク』。一撃でも喰らってしまえば決定的なタイムロスを生み出してしまう。 (頼むぜ……!! ) 「はぁあっ」 と、掛け声と共に下段に構えていた愛刀をそれほど広くない遺跡の天井に打ち上げるように振り抜く。 閃光のようなライトエフェクトを纏いながらテオの剣がソーサラー・キラーの側面を抉りとるように切りつける。 バキャッ といった不快な音が遺跡内に響きわたりソーサラー・キラーは手裏剣のように回転しながら真っ直ぐ天井に飛んでいく。 しかし、テオはそこで終わらない終わらせない。テオの種族、半獣人の高いステータスをフルに使い跳躍する。 普通獣人のようなかけ離れた力までは使えないが、常人からしたら並外れた力を使い剣の中程から歪に砕けかけているソーサラー・キラーに肉薄する。 空中にいる状態で剣を構え、スキルモーションに入りシステムのアシストに身を委ねる。右手に握られた剣と腕は、システムに決められた動作を反復をするようにうごかされる。
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