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「…ケホッ、ケホッ…ケホッ………はぁ……はぁ………………お前、僕を殺すつもりか!?」
「……あん?それはこっちのセリフだ。」
「 ? 」
どや顔でなんのことだ?と、言いそうな顔でテオを見てくる。
「お前さっきの魔法、俺に当てるつもりで撃ったろ?」
「まっさか~、ないよそんなこと。万に一つもない。神様にだって誓ってやるよ」
「うっせ、不良神父」
「僕の何処が不良神父だ!見ろ!!この純白の何か教会の人が着ているであろうよく分からん服!!それっぽい杖!!汚れを知らない赤の瞳!!そして同色の髪!!」
「全て曖昧じゃねぇか!!それに、その赤髪が不良っぽいって言ってんだよ!!」
「人を見た目で判断するモンじゃねぇだろ。それに髪の事を言ったらテメエもそうだろ!?この男女!」
「ア゙ァ!?ソイツは聞き捨てなんねぇぞ」
「そんな、髪を女みてぇに伸ばしてるのが悪ぃんだろ~が。何ですか?何かのギャルゲの主人公になったんですか!!!?」
「あんだと!?お前だって伸ばしてるじゃないか!!」
「バーカ、俺の髪は肩までだし、標準ですから!一般ですから!お前みたいに腰あたりまで伸ばして無いわ!!ぶわぁあか!!」
「好きで伸ばしてると思うなよ!!何ならここで、今すぐ、即効、で斬ってやるよ!!」
「………あ、いや、今髪型変えられるとお前と認識出来ないからやめて」
と、両手を左右に振って否定のジェスチャーをする。
「って、じゃあ言うなよ!!」
「だが、断る!!」
「胸を張るな!!!このバカ」
全力でツッコむ、コイツは俺に何を求めてるんだ!?俺にどうしろと!?
そして、ヴァイドの顔が蒼白に彩られていく。
「……ま、まま まさか、お前にバカと言われる日が来るとは…………!!」
「え、何?まるで俺の方がバカとでも言いたい顔してんじゃん」
「…え、お前バカじゃん。しかも女みたいに伸ばして、バッカみてぇ(笑)」
テメエ、コロス!!」
「やっべ!!」
ヴァイドが踵を返して出口に向かって走っていく。
そんな会話は二人にとって、ここ二年くらいで度々ある会話だ。
そう、二年
二年という長い月日。だが俺達がこの世界に来たのが3年前。今更だがバカらしく思える会話もここまでくれば銅に入ったものだ。
そう、この『ゲーム』の中に入って3年。
その始まりは、あの誰もが忘れようとしても忘れられないクリスマスの日だった。
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