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「そこまでだ!」
私立高井学園3階に、突然誰かの怒声が響く。
「皆瀬(ミナセ)、暴れている其処の一年の動きを封じろ。」
「俺様に偉そうに命令するな!‥…まぁ今は止めた方がよさそうだな。」
皆瀬は安の後ろに回り込んだ。
「お前入学したばっかりなのに、もう問題行動かよ?風紀委員として関心しないねぇ~」
「ちょ‥何しやがる!!」
皆瀬は安を羽交い締めにした。
「風紀委員さん!安君を…離して下さい!」
ずっと黙っていた亜矢斗が突然大きな声を出した。
「あ?なんだお前…。」
そう云って、皆瀬は亜矢斗の方を向き鋭く睨んだ。
(怖い…でも安君がッ)
「ボクは…浜津安の兄です。弟が…入学早々問題を起こし…スイマセンでした。」
そう云って、頭を下げた。
「え……なんで亜矢斗が頭下げるんだよッ」
「うるさい!安君も…ちゃんと風紀委員さんに謝って。」
無口で大人しそうな亜矢斗が‥…声をあらげた。
事の顛末を見守っていた誉と世菜は、その光景を見て驚いた。
「…。スイマセンでした。」
兄同様、安も頭を下げる。
「フンっ‥最初からそうすればいいんだ。
分かればいい。」
そう云って、パッと安の身体から手を離した。
「ありがとうございます!!」
何度も何度も風紀委員に向かって頭を下げる。
「最後に一つ忠告だ。校則,寮の規則を守れない者は減点していくと云ったはずだ。
勿論喧嘩,他校の生徒とのトラブルなども減点の対象。注意をしても改善されない場合、ペナルティーを課す。
私達の直属の上司が八野先生だという事をくれぐれも忘れるな。以上。」
安を解放した後、皆瀬は部下(他の風紀委員)と共に直ぐに去った。
だが、もう一人の風紀委員は見下すようにじろじろ見ながら、忠告を告げ去っていった。
「ハァ…嵐が去ったね。」
「そうだな。」
「怖かった…風紀委員さん。」
風紀委員が去り安心したのかその場に座り込んでしまう。
「まじゴメン…。亜矢斗。」
(自分のせいなのにッ)
頭に血がのぼっていた安は、ようやく自分の失態に気付く。
「もぅいいよ…安君。そんな事より///」
ん…? 亜矢斗どうしたんだろう?
「ハイハイ。亜矢斗、手。」
そう云って、手を差し伸べる。
「ありがと///」
安心したのか立てなくなっていたみたい。
朝の騒動は終わりをつげる。
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