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「おう。それはな、地下室に行く前に“ティータイム”をする事だ。」
“ティータイム”
御茶会の事…。
「“ティータイム”?」
どんな条件かと思えば……意外な返答が返ってきて、誉は拍子抜けした。
もっと凄い要求なのかと思ってたι
「何故…ティータイムを…したいの。」
首を傾げて、亜矢斗がじっと世菜を見る。
「だって、同級生は勿論!先輩達とも一緒に、紅茶が飲めるんだぜ。
仲良くしたいし。」
確かに、世菜や亜矢斗の他にも‥…慎や安とも一緒に紅茶を飲みたい。
安は嫌がるかもしれないけど‥…亜矢斗の弟だし友達になりたい。
そう云って、世菜は顔をパアッと輝かせる。
「どんだけ…紅茶好きなんだよι」
“紅茶が飲める”―――そこを強調しながら云った世菜に、呆れる誉。
「彩音以外の先輩とも、話がしたいし。」
……ん? 彩音?
「八野君……彩音って…誰ですか?」
俺達が知らない人の名前が、世菜の口から語られ、亜矢斗は聞いた。
「あー!お前等は知らねェのか。
俺の兄さん……みたいな人だ。」
“俺の兄さん”―――そう云った時の世菜の表情は和らげで優しそうだった。
チクッ
その表情を見た時、ドキドキしてそして何故かイラッとした。
今まで見た中で、一番かっこよかった。
胸がチクッ(?)として、ムカムカがとまらない―
何に対してのイラつきなのか自分でも分からない俺は、慌てて返事をする。
「そうなんだ。」
世菜は彩音さんがどんな人物なのか、色々と教えてくれた。
本当の兄みたいに昔から接してくれて、世菜の事を可愛がる。 いつも優しくて、傍に居てくれるらしい。
彩音さんの事……本当に大切だと思ってるんだね。
彩音さんを頭の中でイメージしてみる。
世菜みたいに眼鏡かけてるのかなあ…もし、かけてたら凄く似合うと思う。
男前なのかなあ。。
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